
でろ様
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スター
グレード
称号
特定店舗集中型
総合満足度
5.0
ラブホテルの部屋は、時間の層が何枚か重なったみたいに薄暗くて、窓の外のネオンだけが、僕らを別の世界から照らしていた。 五回目に会う彼女は、まるでそこに昔から置かれていた家具の一部みたいに、ソファで足を僕に預けていた。 「帰ったら何食べるの」 彼女は、誰に訊いているのかわからない声で言う。 「おでんの残りだと思う」 「いいね。こんにゃく食べたい」 僕はシャツのボタンを探しながら、ふと口にする。 「こんにゃく作った最初の人間って、ほとんど神話的だよ」 「神話の人って、だいたい壊れてるもんね」 彼女は僕の袖を静かに引く。その仕草は、ほとんど音を立てなかった。 「毒芋を砕いて、晒して、灰まで混ぜて……無味だよ」 「無味って、救いがあるよ」 彼女は薄く笑う。 「人間だけだよ、そんな面倒なことするの。必要でもなく、効率的でもなく。ただ、そうしてしまう」 僕はうなずいたが、それはうなずくというより、身体の重力が一瞬だけ向きを変えただけのようだった。 「じゃあ僕らのこれも?」 「うん。無味で面倒で、ちょっと壊れたやつ」 彼女は事実を告げるみたいに言った。 ドアを開けると、廊下は思ったより暗くて、僕らの影はすぐに区別がつかなくなった。 ネオンの色だけが、遅れてついてきた。
利用日: 2025年11月21日