泡沫(うたかた)の空間にて
今日もまた、ふらりと「hotel world」の暖簾をくぐった。案内されたのは202号室。二時間で三千六百円という、現代の物価から見れば驚くほどの安価である。
その価格帯ゆえ、部屋に漂うそこはかとない「寂れた感」は否めない。壁の微かな色褪せや、どこか時代に取り残されたような調度品。しかし、その場末の匂いを帯びた雰囲気が、かえって奇妙な艶っぽさを醸し出し、これから始まる秘め事への興奮を静かに、しかし確実に煽り立ててゆく。洗練された高級感にはない、どこか後ろ暗くも濃密な刺激がそこにはあるのだ。
そして何より心を弾ませたのは、今日も受付にいた、あの愛らしいお姉さんの存在だった。その不意の幸運に、胸の鼓動は思わず「ガクガクブルブル」と震えるほどに高鳴ってしまう。
コストパフォーマンスという現実的な打算の先に、これほどの刺激が隠されているのだから面白い。万人受けはせずとも、非日常の歪な興奮を求める者にとっては、ある種たまらない至高の空間と言えるだろう。
心地よい余韻を胸に、私はまたこの場所へ足を運ぶ自分を確信している。