平日の朝9時。世間が慌ただしく動き出す時間を少し過ぎた頃、広い駐車場へと滑り込む。車列は疎らで、どこかゆったりとした空気が漂っていた。
フロントのモニターに映し出された客室の写真を見比べ、迷うことなく最も高価格帯の部屋をタッチする。高価格帯とは言っても、フリータイムで5,000円台。税込でもちょうど6,000円という破格のプライスだ。吐き出されたレシートを手に取り、退室時会計のシステムを確認して指定の部屋へと向かう。
扉を開けた瞬間、思わず息を呑んだ。
「広い……」
そこにあったのは、都心や大宮の繁華街であれば容易に一万円を優に超えるであろう、圧倒的なスケール感の空間だった。テレビとソファー、ベッドが鎮座するリビングスペースと、洗面台やマッサージチェア、バスルームを備えたスペースがパーテーションで緩やかに区切られている。
特にバスルームの造りは圧巻で、大きな円形のバスタブにお湯を張り、深く身を沈めると、日頃の微小なストレスが湯気とともに溶けていくようだった。
最新のデザイナーズホテルのような洗練されたスタイリッシュさこそないものの、古き良き郊外型ホテルならではの「ゆとり」と「安心感」がここには満ちている。
平日の朝という静かな時間帯だからこそ味わえる、静寂と圧倒的なコストパフォーマンス。誰にも邪魔されない至福の時間を過ごすには、これ以上ない隠れ家だ。