このホテルは狭い。
どれくらい狭いかというと、大人が二人、普通に立つことができないくらい狭い。一人が立てば、もう一人はベッドの奥へ避難する。二人で座ろうと思えば、必然的にベッドの上に並ぶことになる。
でも不思議なことに、その狭さはそれほど嫌ではなかった。
鏡がある。シャワーがある。エアコンがある。ハンガーがある。電気もある。必要なものは一通り揃っている。トイレはない。
何かが足りないぶん、別の何かが少しだけ過剰になる。
この部屋の場合、それはベッドなのかもしれない。やけにふかふかしていた記憶だけが残っている。
五反田の大都会の片隅に、こんな小さな空間がある。
二人の大人が創意工夫しながら、なんとか収まる空間。
時間は60分。
まあ、こういう場所も悪くない。